日本科学振興協会 年次大会2023

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知的好奇心をくすぐる講演とシンポジウム(学術系)

今回の10/7(土)から10/9(月・祝)に秋葉原UDXで開催される「会いに行ける科学者フェス」の講演とシンポジウムでは、科学の学術的な面に焦点を当てたもの、科学技術政策やその関連に焦点を当てたものがあります(こちらのブログをご覧ください)。

本ブログでは、学術系の内容を含む「講演とシンポジウム」(会場はNEXT1またはNEXT2)を紹介します。

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NEXT1 10/7(土)13:00-14:30 基調講演「研究について考えてみよう -私の研究を振り返って-」 梶田隆章

近年日本の研究力の低下が言われ、様々な対策がなされているようですが、一向に研究力が回復していないように見えます。本講演では、そもそも研究とはどういうものなのだろうかということについて、私の研究経験も交えながら考えていきたいと思います。

パネルディスカッション「研究の本質」

基調講演において研究の本質に迫った後、パネルディスカッションでは、中堅の研究者、若手研究者も交えて、この本質を見失わないためには研究現場で何をすべきか、研究現場をどう変えていくか、望ましい変化の方向性を議論します。

梶田隆章(東京大学・卓越教授/宇宙線研究所教授;日本学術会議・会長(2023年9月末まで))、黒木健(東京大学・大学院理学系研究科生物科学専攻・博士課程;株式会社Quantomics・代表取締役社長)、小野悠(豊橋技術科学大学・学長補佐/大学院工学研究科・准教授)、原山優子(日本科学振興協会・代表理事)

特設ブログ

 

NEXT1 10/7(土)14:45-16:15 好奇心は世界を元気にする

未知の事象や現象に対する興味や関心を好奇心と呼びます。人は、知らないことを知るため、新しい情報を得るために何かを探求したり、新しい体験を追求したりすることがあり、好奇心はその原動力となります。特定のもの・ことに人一倍強い好奇心を持ち、それを探求することを職業とするのが科学者ともいえますが、本シンポジウムでは、その代表ともいえるお二人の科学者、佐藤たまき教授と、水島昇教授にご講演をいただだき、研究への熱い思いを語っていただきます。そして、科学ジャーナリストの元村有希子さんを交え、好奇心とは何か、好奇心は世界を元気にするのか、好奇心を育てて活かす環境とは、などについて議論を行います。

佐藤たまき(神奈川大学・理学部・教授)、水島昇(東京大学・大学院医学系研究科・教授)、元村有希子(毎日新聞・論説委員)

 

NEXT1 10/8(日)10:00-11:30 「地球冷却微生物を探せ」から考える市民科学の未来

NEDOムーンショット型研究開発事業の研究課題「資源循環の最適化による農地由来の温室効果ガスの排出削減」の一環として実施している市民参加型研究プロジェクト「地球冷却微生物を探せ」を基軸に、市民の科学参加による日本における科学・研究活動の活性化の可能性について、産・民・学のさまざまな立場の関係者が講演を行い議論する。

[司会] 佐伯 恵太(俳優;サイエンスコミュニケーター)

南澤究(東北大学・生命科学研究科・特任教授)、大久保智司(東北大学・生命科学研究科・特任助教)、青木裕一(東北大学・ToMMo・講師)、大石寛人(NHK・科学番組ディレクター)、岩田淳(住友化学株式会社)、地球を守る新技術の開発研究班(京都府立桂高等学校)、他

関連 Web ページ:https://dsoil.jp/results/news/detail/—id-227.html

 

NEXT1 10/8(日)13:00-14:00 猫が30歳まで生きて人の透析がなくなる日を目指して

私たちの免疫系は、細菌やウイルスなど外来性の敵と戦い撃退します。しかし外来の敵の他に、死んだ細胞や壊れたタンパク質、変性した脂肪など、私たち自身の中から生まれるたくさんのゴミがあり、それが体の中に溜まると病気になってしまいます。AIMという血中タンパク質は、こうした“内なる敵”を撃退し、病気の芽を絶つ司令塔であることが分かってきました。そのため、AIMが機能していなかったり、体内にAIMが不足していると、様々な病気が発症・増悪します。特に、腎臓病において、このようなAIMの機能が顕著に現れます。猫が突出して腎臓病に羅患しやすいことは、獣医学領域では有名なことですが、興味深いことに、猫ではAIMがうまく働いていません。また、猫のみならず、トラ、ライオン、チーターなどの猫科の動物も腎臓病が多発しますが、猫と同じくAIMが働いていないことも分かりました。このような知見は、猫(科動物)の腎臓病に対する、AIMを用いた新しい治療法の可能性を強く示唆します。同じように人間でも、ゴミの量が多すぎてAIMが足りない人が腎臓病を患うと考えられますので、やはり猫と同じようにAIMでの治療が可能ということになります。今回の講演では、人間と猫のAIMの物性の違いや、腎臓病をはじめとする様々な病気に対するAIMの関わり、そしてAIMによる新しい疾患治療パラダイムの展開についてお話します。

宮崎徹(一般社団法人AIM医学研究所・代表理事/所長)

関連 Web ページ:https://iamaim.jp/

 

NEXT2 10/8(日)11:45-13:15 気象制御実現への挑戦

近年、集中豪雨被害の増加を肌で感じることが増えています。こういった極端な気象災害の緩和に向け、内閣府ではムーンショット型研究として、激甚化しつつある台風や豪雨を制御し極端風水害の脅威から解放された安全安心な社会を実現することが目標に掲げられています。この講演ではまず、線状降水帯に代表される集中豪雨の原因やその仕組みについて解説し、その上で気象制御に関する我々の最新の研究成果について紹介します。また講演を踏まえ、気象制御研究に関する期待・懸念・可能性などについて、参加者と一緒に議論します。

安永数明(富山大学・学術研究部・教授)、小槻峻司(千葉大学・国際高等研究基幹・教授)

 

NEXT1 10/8(日)14:30-16:00 【中高生対象の情報提供】海外大学進学と海外大での研究

 辻村慎乃介(ベネッセコーポレーション・海外大進学サービス責任者)

 

NEXT1 10/9(月)10:00-11:30 おもしろまじめな科学者たち:イグノーベル賞の世界

「人々を笑わせ、そして考えさせる研究」に与えられる「イグノーベル賞」ですが、受賞者の科学者たちはいたってまじめです。本企画では、受賞者のおふたりに、受賞された研究とそれからの展開について大いに語っていただき、笑い、考えたいと思います。 招待講演者 中垣 俊之 先生: 粘菌に迷路問題を解決する能力があることを示し、2008年にイグノーベル賞認知科学賞を受賞。また、粘菌が都市の鉄道網と同じような経路を再現することを示し2010年のイグノーベル賞交通計画賞を受賞。 村上 久 先生: なぜ歩行者は他の歩行者にときどきぶつかることがあるのかを明らかにする実験を行ったことに対して、2021年、イグノーベル賞動力学賞を受賞。

中垣俊之(北海道大学・電子科学研究所・教授)、村上久(京都工芸繊維大学・情報工学・人間科学系・助教)

 

NEXT2 10/9(月)14:00-15:30 科学とは?

普段「科学」を意識していない人でも、その人の生活や取り巻く社会は何らかの形で「科学」と関わりを持っています。その人の考え方、社会での立ち位置や取り巻く環境によって「科学」への気付き方や解釈は様々ですが、その違いを知ると、ほんの少し視野が拡がったり、「科学」の新たな側面を発見するきっかけになったりするかもしれません。 JAASでは2023年3月から会員を対象に「科学とは?」談話会をオンラインで開催し、全員参加型で、様々な分野・視点から科学を語り、意見を出し合い、議論し、科学の多面性を認識し、それぞれの違いを知り合う機会を提供してきました。

年次大会では、これまで積み重ねてきた談話会を対面形式で行うミニシンポジウム「科学とは?」を開催し、ゲストからの話題提供を起点に科学について語り合い、更に議論・認識・思考・視野を深めそして広め、会員だけではなく多くの方々と共に対話を通じて科学をもっと元気にしていくための一助になることを目指します。是非、違いを知ることを楽しんでください。

話題提供:宇野毅明(国立情報学研究所・情報学プリンシプル研究系・教授)、ディスカッサント:大賀哲(九州大学・大学院法学研究院・准教授)、座長:原山優子(日本科学振興協会・代表理事)、進行MC:河上薫(日本科学振興協会・理事)

「科学とは?」特設ブログ

 
NEXT1 10/9(月)14:00-15:30  AIと日本の未来

AIの今、そして未来について話し合う。AIがもたらす未来、そして日本のAI事情について、科学的な立場、政策的な立場からディスカッションを行う。

平将明(衆議院議員;自民党・AIの進化と実装に関するPT・座長)、伊藤穰一(千葉工業大学・学長)、名倉勝(CIC Institute・Director;東京工業大学・特任教授;一般社団法人スタートアップエコシステム協会・理事)、原田香奈子(東京大学・大学院医学系研究科/大学院工学系研究科・准教授)

 

NEXT1 10/9(月)12:00-13:30 ランチョンセミナー:『こころを動かされること』を科学しよう

「こころが動かされる」という経験は誰しもが多少なりともあるのではないでしょうか。「こころが動かされる」ということは、一時的な気持ちの動きが感じられるだけでなく、価値観・人生観といった世界に対する見方そのものが動かれるのではないでしょうか。「こころが動かされる」という経験は一見科学とは真逆に思われるかもしれませんが、近年では、それがどういったもので、どういった行動につながるのか、科学的な研究が進んでいます。一連の研究を紹介しつつ、こころが動かされ、そして「こころが豊かになる」とはどういうことか、みなさんと考えたいと思います。

中山真孝(京都大学・人と社会の未来研究院・特定講師)、北原秀治(東京女子医科大学・特任准教授;日本科学振興協会・代表理事)、三輪秀樹(国立精神・神経医療研究センター・室長;日本科学振興協会・理事)、中井博之(日本たばこ産業株式会社・ディレクター)

特設ブログ

日本の科学をもっと元気に!講演とシンポジウム(科技政策関連)

オンライン企画(10/10〜10/13に開催されるオンラインのみの企画です)

オンライン企画への登録(無料)

 

オンライン 10/10(火)19:30-21:00 留学する?しない? ~海外で研究するとは~(JAAS x 文科省 トビタテ!留学JAPAN 共同企画)

将来研究者を目指す方(とくに修士課程・博士課程の学生さん)や、すでに研究活動に励んでいる方々は、誰でも一度は海外への研究留学を考えたことがあるのではないでしょうか。一方、昨今のパンデミックや世界情勢の悪化などをふまえ、留学に対して漠然と不安を感じている方も少なからずいらっしゃるかもしれません。この企画では、文部科学省トビタテ!留学JAPANの中谷氏より、留学を取り巻く最新の情報や文部科学省の留学支援プログラムについてご紹介いただきます。また、海外での研究経験を有する複数の演者をお招きし、これから海外留学を目指す方々にとって生きた情報をご提供したいと考えています(各国の研究風潮の違いや失敗談などを含む)。本企画を通じて、世界を目指し・世界に通ずる科学人材が少しでも増えることを願っています。

演者:中谷 裕次(文部科学省・トビタテ!留学JAPAN・CCO(チーフ・コミュニティ・オフィサー))、他(海外での研究経験をもつ演者数名を予定)、座長:太田 航(横浜市立大学・医学部・助教;日本科学振興協会・理事)

 

オンライン 10/11(水)20:00-21:00 「ChatGPTの支援により科学詩を作ってみよう!」(科学詩研究会)

科学者と市民の科学コミュニケーションツールのひとつとして科学論文をもとにChatGPTの支援による科学詩(論文詩)の作成について実演します。

下記の手順でオンライン開催(1回60分程度を期間中3回程度)します。 

1.参加者のうちから論文著者に論文のタイトルをチャットで発言していただき、それをもとにChatGPTの支援(たとえば、ChatGPTサイトの「Send a message」に「タイトル(テキスト)をもとに詩を作って」)により論文詩を作成することで、異分野間の理解を深めます。(40分)

2.作成された論文詩をもとに参加者全員で感想を述べ合います。(10分)

3.質疑応答と「論文詩文学賞」の内容説明と募集をおこないます。(10分)

司会進行:多田満

 

オンライン 10/11(水)15:00-17:00 科学をめぐる冒険

急速な発展を遂げつつある人口知能が、どんな人よりも高い能力を持つ時代。そんな時代に、教育、科学、そして社会はこのままでよいのか。好奇心を原動力に、既存の常識を壊し、新しい世界を切り拓いていこう。『 冒険の書 AI時代のアンラーニング 』の著者で起業家の孫泰蔵氏と、オートファジー研究の第一人者で『LIFE SCIENCE(ライフサイエンス) 長生きせざるをえない時代の生命科学講義』の著者の吉森保教授が、これからの科学のあり方について語ります。

孫泰蔵(起業家、投資家)、吉森保(大阪大学・生命機能研究科・教授)

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オンライン 10/12(木)15:30~17:00 心と脳に対する革新的医療技術開発の最前線:AIが拓く精神・神経疾患治療の未来

近年、脳科学の発展や人工知能(AI)技術の発展から、これらを結びつける研究も盛んに行われています。本シンポジウムでは、精神疾患、神経疾患分野でAIを活用し治療に役立てようとする研究者が集まり、その最新の研究成果を発表すると同時に、研究や実際の活用の進め方について、倫理的・法的・社会的な側面から議論を展開します。      まず、慶應義塾大学の岸本泰士郎先生が精神科分野でのAI応用について紹介します。精神疾患の客観的な診断や、重症度評価は非常に困難です。AIを用いた精神疾患の早期予知や診断、治療法の個別化など、新たなアプローチが紹介されます。  次に、慶應義塾大学の牛場潤一先生が、脳波などの脳活動を利用して機械を操作するブレインマシンインターフェースへのリハビリテーション領域への取り組みについて紹介します。  最後に、東京大学の池谷先生には、脳とAIの新たな共生様式を模索し、脳とAIの機能に再定義を促す新学術分野「知能エンジニアリング」について教えていただきます。    パネルディスカッションでは、こうした医療の課題に取り組む研究者や、ELSI(倫理、社会、法的側面)の研究者が、それぞれの立場で、研究活動の進め方や社会実装に向けての課題について議論します。

座長兼演者:岸本泰士郎(慶應義塾大学・医学部 ヒルズ未来予防医療・ウェルネス共同研究講座・特任教授)、演者:牛場潤一(慶應義塾大学・理工学部生命情報学科・教授)、池谷裕二(東京大学・薬学専攻医療薬学講座・教授)、討論者:横山広美(東京大学・科学技術社会論・教授)

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オンライン 10/12(木)17:00-18:30 「伝える」から「伝わる」へ 科学コミュニケーションの可能性を考える

私たちの社会において「科学」の存在感は増す一方であり、どのように科学を社会に融和させるかは大きな課題となっています。「科学」を伝える機会は様々な場で増えていますが、それは果たして発信者が意図するように伝わっているのでしょうか?このセッションでは、6月に「伝え方—伝えたいことを、伝えてはいけない」を上梓された編集家の松永光弘さんをゲストに迎えて、いつもの科学コミュニケーション談義からは異なる切り口で、科学コミュニケーションの可能性を考えます。

パネリスト:佐伯恵太(科学コミュニケーター)、森田紘平(神戸大学)、松永光弘(編集家)、モデレーター:田中智之(京都薬科大学)

(2023.9.29, 更新2023.10.2)

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