日本科学振興協会 年次大会2023

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日本の科学をもっと元気に!講演とシンポジウム(科技政策関連)

今回の10/7(土)から10/9(月・祝)に秋葉原UDXで開催される「会いに行ける科学者フェス」の講演とシンポジウムでは、科学の学術的な面に焦点を当てたもの、科学技術政策やその関連に焦点を当てたものがあります(こちらのブログをご覧ください)。

本ブログでは、科学技術政策関連の「講演とシンポジウム」(会場はNEXT1またはNEXT2)を紹介します。

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NEXT2 10/7(土)14:45-16:15 サイエンスを基盤とした共創事業推進に必要な人材-研究と開発を繋ぐナレッジ&スキルをどう備えるのか

我が国の学術界は、これまで研究・技術開発を担う人材が集い、新たな知を創造する役割を果たしてきた。しかし、日本の社会課題が複雑化する中で、学術界には従来の役割以上のものが求められるようになっている。そこで、2021年4月より科学技術・イノベーション基本法が施行され、法の振興対象に「人文・社会科学」が加わるとともに、今後の我が国の科学技術政策の基本的な枠組みの中に「イノベーションの創出」が盛り込まれた。これを受けて、第6期科学技術・イノベーション基本計画では、学術界の従来の役割である「知の創造」以外に、「社会の変革(イノベーション)」という新たな役割が付与された。このような情勢の中、産官学民のセクターを越えた共創事業が国策として進められているが、我が国の学術界がこのような共創事業を十分に推進できているのかについては議論が必要である。また、第6期科学技術・イノベーション基本計画では、「新たな社会を支える人材の育成」も学術界の役割として明示されているが、サイエンスを基盤とした共創事業推進に必要な人材が備えるべき研究と開発を繋ぐナレッジやスキルは十分に明確化されてない。そこで本シンポジウムでは、共創事業を手掛ける各分野の専門家に話題提供を頂き、その後に行われるパネルディスカッションを通じて、今後の科学技術・イノベーションを推進する学術界の役割についてフロアとともに広く議論を行う。

話題提供者・パネリスト:岩坪浩(株式会社村田製作所・取締役)、鄭雄一(東京大学・教授;神奈川県立保健福祉大学・理事/副学長/研究科長)、林和弘(文部科学省・科学技術・学術政策研究所・室長)、宮﨑智之(横浜市立大学・教授/学長補佐;研究・産学連携推進センター・部門長)

ファシリテーター:髙瀨堅吉(中央大学・教授)

特設ブログ

 

NEXT2 10/7(土)16:30-18:00 男女共同参画「男女共同参画で、日本の科学をもっと元気に!」

日本の科学技術分野では、女性の進出が国際比較において極端に遅れているという現状がある。これは、多様性の欠如、ロールモデルの不足、才能の未活用などの問題を引き起こし、日本の科学の活性化を阻害する大きな要因となっている。 本シンポジウムでは、男女共同参画学協会連絡会による大規模アンケートや省庁の統計調査により明らかとなった男女共同参画の現状と、現在行われている各種の施策について理解を深めつつ、今後、男女共同参画をどのように推進すべきかについて議論する。 本シンポジウムには、男女の研究者のみならず、科学技術政策や男女共同参画、少子化関連の施策に関わる政治家や官僚経験者を含む多様なステイクホルダーが参加し、多角的な視点から議論を行う。本シンポジウムが、男女共同参画を進め、日本の科学を元気にするための新たな方向性を示す場となることが期待される。

座長:原山優子(日本科学振興協会・代表理事)

パネリスト:志牟田美佐(東京慈恵会医科大学・薬理学講座)、裏出令子(京都大学・複合原子力科学研究所)、塩満典子(広島大学・学術・社会連携室 未来共創科学研究本部)、有村治子 (参議院議員;元内閣府特命担当大臣(男女共同参画))、北原秀治 (日本科学振興協会・代表理事;東京女子医科大学)、住井英二郎 (日本科学振興協会・理事;東北大学)

広報用ポスター

 

NEXT2 10/8(日)10:00-11:30 「科学への信頼」を育むには(JASC/JASTJ/JAAS合同企画)

現在も続く新型コロナウイルス(COVID-19)のパンデミックでは、RNAワクチンの開発や変異株の迅速な解析といった科学技術の成果が社会に貢献した一方で、ネット空間でのデマや陰謀論の広がりが可視化され、「科学に対する信頼」がしばしば話題になりました。科学が今後ますます社会に大きな影響を及ぼすことが確実視される中、専門性の高い知識を社会がどう共有していくかは重要な課題となっています。ここでは、「科学に対する信頼」をキーワードに、科学が社会に融和していくためには何が必要なのか、私たちは何ができるのかについて議論します。

パネリスト:瀬川至朗(早稲田大学)、詫摩雅子(科学ライター/科学コミュニケーター)、美馬のゆり(はこだて未来大学)、横山広美(東京大学)

モデレーター:田中智之(京都薬科大学)

特設ブログ

 

NEXT2 10/8(日)13:30-15:00 これからの「研究評価」を考える

競争的研究費の審査や人事選考など、「研究評価」は研究者にとって重要な問題です。近年、研究環境が競争的なものになることに伴い、研究者が「研究評価」のために費やすリソースも増大しています。その結果、簡便な指標として「インパクトファクター」に代表される数値評価がしばしば重視されますが、このことが研究不正をはじめとする様々なゆがみを研究環境にもたらしているという指摘もあります。ここでは研究活動の多面性、より適切に評価に組み込まれるべき研究業績に着目し、健全な研究活動を促すような研究評価とはどのようなものか、またステークホルダーの意識をどのように変えていけば良いのかといったテーマで議論します。

パネリスト:小野悠(豊橋技術科学大学)、斉藤卓也(理化学研究所)、島田裕平(東京大学)、白井知子(国立環境研究所)、杉山雄大(国立国際医療研究センター)、箕浦明(昭和大学)

モデレーター:標葉隆馬(大阪大学)

 

NEXT2 10/8(日)15:15-16:45  17:00-18:30 日本の科学を元気にするためのグランドデザイン

日本の科学をもっと元気にするためには、科学者がその好奇心や情熱を原動力として研究にじっくりと集中できる環境、そのような研究から得られた成果があらゆる人に享受され新しい価値が次々と生まれるような環境を、様々なステイクホルダーが協働して整備していくことが大切であると考えられます。本シンポジウムでは、JAAS研究環境改善ワーキング・グループからの提言をベースに、前半では、研究関係者のキャリアパスについて、安定性と流動性を両立させつつ社会の中で博士人材がより活躍できる包摂性の高い仕組みをつくるにはどうすればよいか、後半では、限られた資源の中で、研究者のモチベーションを刺激し成果を最大化できるような研究費のあり方とはどういったものか、等について議論し、理想的な研究環境の実現を目指します。

船田元(衆議院議員)、平林晃(衆議院議員)、水野素子(参議院議員)、松尾泰樹(内閣府・科学技術イノベーション事務局・局長)、森本陽介(デロイトトーマツ・グループ シニアマネジャー)、江端新吾(東京工業大学・教授;研究基盤協議会・会長)、安田聡子(九州大学・教授)、豊田長康(鈴鹿医療科学大学・学長)、宮川剛(藤田医科大学・教授)

 

ステージ 10/9(月・祝)10:00-11:30 最前線の若手研究者と考える2040年の未来 

一人ひとりが多様な幸せ(well-being)を実現できる社会を目指すために、イノベーションを通じた新たな価値・考え方・知識の創出が求められています。科学・学術はイノベーションの源泉であり、その貢献が強く求められていますが、我が国にはイノベーションの創出を阻む多くの問題があります。この企画では、人文・社会科学・自然科学の若手研究者が分野を越えて結集した日本学術会議若手アカデミーのメンバーが、あまり知られていない研究の最前線や研究者のしごとについて紹介します。その上で、2040年の未来を見据えて、我が国のイノベーション創出を科学・学術の立場からいかに支えることができるか、参加者のみなさまとともに考えていきます。

小野悠(豊橋技術科学大学・准教授;日本学術会議若手アカデミー・幹事)、岩崎渉(東京大学・教授;日本学術会議若手アカデミー・代表)、川口慎介(海洋研究開発機構・主任研究員;日本学術会議若手アカデミー・会員)、髙瀨堅吉(中央大学・教授;日本学術会議若手アカデミー・会員)、安田仁奈(東京大学・教授;日本学術会議若手アカデミー・副代表)、東尾奈々(宇宙航空研究開発機構)、佐伯 恵太(俳優;サイエンスコミュニケーター)

特設ブログ

 

NEXT1 10/9(月)14:00-15:30  AIと日本の未来

AIの今、そして未来について話し合う。AIがもたらす未来、そして日本のAI事情について、科学的な立場、政策的な立場からディスカッションを行う。

平将明(衆議院議員;自民党・AIの進化と実装に関するPT・座長)、伊藤穰一(千葉工業大学・学長)、名倉勝(CIC Institute・Director;東京工業大学・特任教授;一般社団法人スタートアップエコシステム協会・理事)、原田香奈子(東京大学・大学院医学系研究科/大学院工学系研究科・准教授)

知的好奇心をくすぐる講演とシンポジウム(学術系)

オンライン企画(10/10〜10/13に開催されるオンラインのみの企画です)

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オンライン 10/10(火)17:00-18:30 ライフサイエンスにおける研究公正を考える

競争的資金の申請の際の条件となることから、研究倫理のe-ラーニングは研究者にとって馴染み深いものとなっています。一方で、研究不正事件はコンスタントに発覚しています。AIを利用した架空の論文を販売する論文工場(Paper Mill)の登場は、研究公正の推進の将来に暗い影を投げかけるものかもしれません。ここでは、JST-RISTEXの「ライフサイエンスにおける誠実さの概念を共有するための指針の構築」プロジェクト(田中智之代表)において実施されたwebアンケートの結果を紹介し、研究環境をどのように変えていけば良いのかについて議論します。

パネリスト:標葉隆馬(大阪大学)、ほか。モデレーター:田中智之(京都薬科大学)

 

オンライン 10/11(水)17:00-18:30 科学とイノベーションをつなぐ(研究・イノベーション学会-JAAS 合同シンポジウム)

研究・イノベーション学会は、前身の研究・技術計画学会より38年にわたり、科学技術をいかに経済・社会・文化の発展に役立てイノベーション創出につなげるか、そのためのマネジメントについて考えてきた。一方でJAASは、科学の振興を目的として設立された。「日本の科学を、もっと元気に」の旗の下、その会員構成は職業研究者に限らず広いが、基礎研究に携わる研究者も比較的多いという特徴を持つ。そこで、本シンポジウムでは、この両団体をつなぎ、いつの日かもっと元気になった日本の科学をいかにしてイノベーションにつなげていくかを議論する。日頃、基礎研究に携わる研究者としては、すぐ役に立たない科学へも理解を求めたいという思いがあることは否めない。一方で、「科学を元気に」するための投資に広く支持をいただくためには、経済・社会の発展に役立てる観点も不可欠である。本シンポジウムでは、その両極の現場で、基礎研究に携わる研究者とイノベーション創出のためのマネジメントに携わるスタッフとの議論を通じて、科学を起点に、日本のイノベーション、日本の経済・社会・文化も元気にするための方策を考える。

手嶋 達也(日立製作所 中央研究所企画室 主任研究員)、明谷 早映子(東京大学 大学院医学系研究科 プリンシパルURA)、小野 悠(豊橋技術科学大学 建築・都市システム学系 准教授)、田中 智之(京都薬科大学 病態薬科学系 教授)

 

 

 

(2023.9.25)

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